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番外編 石川先生コラム

子どもの遊びと運動が大切なわけとは?

■子どもの成長に遊びと運動

今日もご訪問頂きありがとうございます。

 市役所からの誤送金を全額使ってしまった若者に非難の声が上がっています。テレビ局の中には母親まで追いかけ、インタビューを試みる始末。元を正せば、市役所の誤送金が原因。お金を全部使ってしまった若者は、その使い道に関心が集まっていますが、素直に、返済に応じて貰いたいと思います。この若者も災難だと思います。急に、大好きなお菓子が自分の目の前に届けられ、それを美味しそうにパクつく子どもを連想してしまいました。「誤送金が無ければ、こうして犯罪者扱いされることも無かったと思います。」という知人の言葉に救われました。それぞれが、自分たちの責任の名において正し判断をされるよう祈っています。

子どもの成長発達に欠かせないのが「遊び」と「運動」です。遊びも運動も、そして、知能も、全てが脳による活動です。運動の手前には乳児期の原始反射があり、その後、随意運動として脳の活動による自立した動きとなります。その為、原始反射を随意運動に導く事が、子どもの自立を早めることに繋がると考えられています。

乳幼児期は、遊びや運動が大切と言われるのは、それぞれが、脳と、それに直結する各神経の発達を意味しているのです。ちょっと、奇っ怪な図ですが、図をご覧下さい。この図は、脳科学者であるペンフィールド博士の、「脳神経細胞の数から見た人の姿」です。

手の大きさに驚かれると思います。脳科学では、手は「突き出た大脳」と言われるのですが、なるほどと思われるでしょう。次に口の大きさに着目されると思います。このことは、人という動物を表すのに、とても分かり易いと思います。人は、この左右の手で様々な物を創り上げてきました。また、人は、他の動物との違いを言葉の使用によって表現しました。そして、次の図ですが、これが、人の成長発達をグラフ化したもので、脳の発達が幼児期にあることを示しています。

子どもは、遊びを通して、自分手を使い自由に使えるようにします。幼児教室では、当たり前のように「手遊び」をしたり、物を作る遊び(積み木、パズル、ブロック、粘土等々)を通し、つまむ、つかむ、積む、はめる、組む、繋げる、こねる、切る、ちぎる、貼る、塗る等々の手先を使う環境を整えます。こうした、遊びが脳と手先指先の神経網を創り上げ、図のように大量の神経が集まる手先指先に発達させます。こうして、神経の発達を考えることから、幼児教育では、0歳から6歳まで、最も脳が発達する時期に、どのよう脳への刺激を与えれば良いか、乳幼児の遊びの内容を分析し、その環境を整えます。

運動は、まさに人を指す言葉の一部で、「動く物」として、人の動きの代名詞になる物です。もうご存じだと思いますが、幼い子どもほど、広い空間に連れて行くと、何故か走り出し、辺りを走り回ります。この時、自然の形で「おにごっこ」のような走り方になり、その後、言葉を覚え、言葉を通しコミュニケーションが整ってくると、自分たちで簡単なルールと遊び方を生み出します。「おにごっこ」はその典型です。今ほど、規制の少なかった時代の子どもの遊びを振り返ると、人としての本能から生まれた、自らの身体を鍛える遊びが沢山あることに気付きます。

戸外での遊びには、運動に関する、まるで、トレーニングのような遊びが沢山あります。片足で、ぴょんぴょん跳ぶけんぱなどから身体の平衡感覚を、缶蹴りは、「スタート」アンド「ダッシュ」を繰り返すことで心肺機能を高め、視覚認知や反射神経も発達させます。メンコや釘を刺して陣取り合戦する遊びは、地面にメンコや釘を叩き付ける動作で、それを、正面に変えるだけで「投げる」という運動になります。その他、三角ベース、馬乗り、ゴム段等々、こうして、走る、跳ぶ、蹴る、投げる、捕る、打つ、組む、バランス、リズムという、運動に大切な9つの基本動作が含まれています。

運動と遊びが一体となり、子どもは、子ども同士のルール作りの中で秩序を持って遊びます。そして、自分たちの先祖が育ってきた環境を自ら作り、半ば、本能的に身体を動かします。本来であれば。これらの内容を見ると、子どもの遊びには工夫があり、身の回りにある物を工夫して遊び道具にします。かつて、子どもたちと共に合宿活動をしていました。広い野原に連れて行くと、我先にと走り始めます。その走り去る後ろ姿を見るのが大好きでした。そこでは、私も子どもになり、彼らと同じ汗を流しました。走り回った分、沢山の酸素が必要になります。子どもたちの脳に、新鮮な酸素が沢山送り込まれていきます。

こうして、思い切り外で遊ぶことが出来る環境はとても大切です。大人も、子どもたちも、電子機器に囲まれてから「直ぐにキレる」状態が多くなってきました。これからの幼児教育には、「遊び」そして「運動」が大きなテーマとして、また、課題として臨まなければなりません。口だけで無く、まずは、動かなければ!!